六畳ほどしかない、小さな部屋で
活版印刷の工房をきりもりしています。
私が活版印刷に出会ってまだ数年。
活字を拾い、組み、インキを練る。
機械に組み付け、試し刷りをし
圧を調整し、ムラをとる…。
作業の集積、時間の蓄積、
人の手跡が残るような、気配が息づくような。
目には(見えるのだけれど)見えない向こう側。
そんなところを知れば知るほどすっかり惹かれてゆきました。
ある日、高知市内にかろうじて残る活版印刷所を訪ねました。
小さな印刷所、煙草を咥えて座るおじさんが一人。
聞けばこの道半世紀の職人だといいます。
それからというもの、この師匠に少しずつ
手取り足取り活版印刷を教わるようになりました。
竹村活版室では手動の活版印刷機を使い
一枚一枚、手刷りで作業をしています。
時には、ほかの印刷所で版を持ち込み印刷をすることも。
こうして職人さんを訪ねるたび新たな発見は尽きません。
とても大事な時間と考えています。
少しでも活版印刷がどういうものなのか
見てもらったり知ってもらったり触れたりできる
場所や機会となればいいな、その思いで始めました。
ぜひ一度、おたずねください。
まだまだ駆け出しの身なのですが
高知の街の日常にひっそり灯り続けられたなら、
そんなうれしいことはありません。
竹村 愛