竹村活版室

雑記帖

『詩』の印刷

2015年6月30日

自主制作で、ある詩の一節を印刷しました。

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『あなたの子どもは』
カーリル・ギブラン 霜田静志訳

あなたの子どもはあなたの子どもではない。
子どもは「生命」の渇望からの子どもである。
子どもはあなたを通って来る。
しかしあなたからではない。
子どもはあなたと共にある。
しかし子どもはあなたのものではない。

あなたは子どもに愛を与えることができる。
しかし考えを与えることはできない。
子どもは自分の考えをもっているのだから。
あなたは子どもの体を動かしてやれる。
しかし子どもの心は動かせない。

子どもは明日の家に生きている。
あなたはそれを訪ねることも、夢みることもできない。
あなたは子どもを好くようになれるであろう。
けれども子どもがあなたを好くようにならせようとはしなさるな。
人生は後に退き昨日にとどまるものではないのだから。

あなたは弓である。
そしてあなたの子どもらは
生きた矢としてあなたの手から放たれる。

弓ひくあなたの手にこそ喜びあれと

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産後、私は4〜5ヶ月頃がいちばんしんどかったような気がします。
ちょうど梅雨時というのもあり、外に出ることが毎日の気分転換だったのに
なかなかそれも叶わず、疲れも溜まってきていたのでしょう。
近くの雨風食堂にお昼を食べに出かけることも楽しみのひとつで、時々出かけました。
裏の図書室では食事を待つ間も授乳させたり子を寝かせたりもさせてもらえて、
本当に気持ちが落ち着く場所でした。
居心地がいいので、子どももよく眠ってくれていたように思います。
その図書室の棚の一箱には、子育てに関する本も並んでいて、
ずっと大切に携えたい良書に出会えました。 
そのうちの一冊が、毛利子来先生の『赤ちゃんのいるくらし』。
肩の力を解きほぐしてくれるような毛利先生のほっと落ち着く日本語や
和田誠さんの挿画、章の間には八木重吉、谷川俊太郎さんらの詩。
育児書だけで周知されているのはもったいないような、
三十年近くも愛され、世のお母さん、お父さん達に読まれ続けている本です。

この本の最後に、この詩がありました。
なんともやるせなくせつない親心、しかし希望を与えてくれる詩です。
始めて読んだときの胸が熱くなった気持ちを忘れられず、
活版印刷で最後の一節を印刷しました。
この一節は日々思い出します。
だんだん忙しさに追われ、思い出すことも少なくなっていくのかもしれません。
それでも、時々でもいいので、心に留めておきたい詩。

同じように子育てまっただ中の(そうでなくても)
お母さん、お父さんと共有したくて印刷しました。

土佐和紙:磯崎裕子(土佐楮)
額   :竹内紙器製作所(stapled typeB 額セット)※近日中に入荷します
活版印刷:竹村活版室